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「バイトテロ」問題で見逃される「バイトは勤め先なんて倒産しても良い」と思ってるということ。-コラムのようななにか

Other > コラムのようななにか 2016年2月23日(最終更新:4年前)

別所で一定の反響があったので、マジメぶった記事にしてみた次第。

 

twitterなどSNSでアルバイトが不謹慎な画像を撮影し、公開。
それにより勤め先が炎上し、酷いパターンだと倒産にまで追い込まれる事例。

これの起きる原因について考察されたコラムがあったのだが、ざっくり書けば、
・情報機器の大衆化
・炎上の大衆化
・ネットリテラシーの不足
の3点が原因であるとされていた。

これは、僕がこの前書いた、ネットの大衆化がネットマナーの低下を招いているという記事と似ている。
また、ネットリテラシーを学ぶ機会がないというのも同意だ。現状、普通校ならそのPC知識は一般企業より低い。

だが、僕はそれ以前の問題だと思った。
この問題については、ネットの大衆化やリテラシー不足よりも、根本的な理解が欠けていると感じた次第だ。

 

若者は、勤め先なんて倒産して良いと思ってる。

大人から見れば、若者(特に学生)なんて、バカにしか思えないだろう。
しかし、年寄りが思うほど、若者はバカではないだろう。

初めの1件を起こした若者。これだけは話が別だ。
自分の起こした行動がどのような影響を及ぼし、どのような結果をもたらすか、想像できなかったとしても仕方ない。

だが、あれだけ大事になったのだ。
その顛末まで知っているハズの模倣犯が、それを行えば炎上を起こす可能性があると、理解していないハズがない

若者は、それをわかっていてバイトテロ・バカッターをするのだ。

良識のある第三者なら思うだろう。
店長をはじめとした多くの人生を狂わすかもしれない行為をどうしてできるのだ、と。

しかし、店長が無職になろうが、不幸になろうが、彼らにとってそんなことは「どうでも良い」のだ。

理由は簡単。
勤め先側こそが、若者が死のうが不幸になろうがどうでも良いと、使い捨てだと思っているからだ。

 

企業は、若者なんて死んでも良いと思っている
ことを、若者は知っている。

例えば、時給の話。
時給が1000円あったとして、×8時間 ×20日 = 16万円。
労働基準法で定められた最低の労働環境で、月16万の収入を得るのに必要な時給は1000円だ。
月16万といえば、地方なら新卒給料レベルだ。
月16万なんて、都心なら生活が危うい金額だ。
初期的な給与ならともかく、継続的に月16万の収入なんて生きていく見込みが立たない。

しかし、実際はどうだろうか。
僕は都心の実情など知らないが、地方の非正規雇用では時給1000円などレアケース中のレアケースだ。
最低時給の700円台で求人をかけるところも多く、
勤務年数のある専門職ですら1000円未満の時給で雇われ続けている姿を見かける。
労働基準法で定められた最低の労働環境ですら、生きていく見込みのまるで立たない給与も払わない。
それは、企業の「死ね」というメッセージにほかならない。

給料だけではない。
・(サービス)残業の強要
・劣悪な労働環境
・募集要項の虚偽
・学業や私生活の無価値視(出勤日や労働時間の強制)
・その他労働基準法に反する行為の数々
・果ては暴言、暴力などの人権無視
正当な対価すら得られない状況で、若者たちは軽んじられている。足元を見られている。使い潰されている。
「死ね」と言われていることを、しっかりと受信している。

自分に「死ね」と繰り返す人間を愛したり、忠誠を誓ったりできるのは、メンヘラだけだ。
大抵の人間は、自分に「死ね」と繰り返す人間に対しては「お前が死ね」と思う。

これでは、企業と若者の間に、好感度や忠誠心なんて発生しようがないのだ。
むしろ、そこにあるのは憎悪や嫌悪。
そして、口火を切ったのは、企業側であることは明白だ

 

バイトテロリストにとって、勤め先は「無価値」

バイトテロ・バカッターが発生する際には、
「面白そう」とか、
「話題を集めたい」とか、
そういった軽い好奇心や欲求がある。

これを抑える良心が、
「炎上して店が潰れるかもしれないだろ、やめろよ」と言ったとして、
若者は雇い主を好いていない、むしろ憎悪しているのだから、

「知らんわ。こんな店、別に潰れて良いだろ」

 

その若者が限りなくバカだったとしても、
不謹慎ツイートが企業に対してノーリスクだなんて思っていない。

一瞬の快楽や好奇心よりも、勤め先の方が無価値。
それだけの話だ。

 

他人は、鏡だ。

企業が若者に対して
「(自分が使い潰したことで)死んでも構わない。代わりはいる」と考えているように、

若者は勤め先に対して
「(自分がネットで炎上させたことで)倒産したって構わない。代わりはある」と考えている

企業が若者の使い捨てをやめない限り、バイトテロ・バカッター問題は無くならないだろう。

逆に言えば、こんな問題は、労働契約の意味を履き違えた勘違いなイタい奴のところでしか起こらない。
テロされて炎上してくれて、潰れてくれた方が、日本のため。
僕はこの手のニュースを見るたびに、つい、そう思ってしまうのだ。

 

それでも炎上を起こしたくない企業の、唯一の逃げ道

良心<憎悪+(顕示欲+好奇心) の式を、
良心+理性>憎悪+(顕示欲+好奇心)に変えるしかない。

「勤め先はどうでも良いけど、炎上は自分に害を及ぼすかもしれないからやめておこう」

種を撒いたのは企業側。
防ぐ努力をするのも、企業側。
若者や教育に「お前のせいだ」と言うのは、まるでお門違いなのだ。


こうした教育を「わざわざ行う」時点で、企業は従業員を「信頼していない」のであって、
従業員からの好感度がマイナススタートになるのは当然という二律背反だったりするが。_(:3」∠)_

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